売りたいアタマと買いたいココロ 〜 図解で見る、企業のアタマと消費者のココロ 〜

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企業のマーケティング、イノベーション、戦略を紐解く。
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買いたいココロ。 毎週木曜更新。
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消費者の行動、考え、気持ちの特性や変化などのエピソードについて、心理学、社会学、行動学等の研究成果や理論を用いて解釈し、図解で説明します。


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技術が必要な分野へ。日本製タオルの在り方〜差別化リーダー型

2011.11.08 Tuesday

 世界でも有数のタオルの生産地と言われる愛媛県。昨今、中国で生産される低価格のタオルに押され、変革の必要を迫られている。経済産業省「JAPANブランド育成支援事業」に指定され、佐藤可士和氏によるディレクションのもと「今治タオル」としてのブランドを強化している。
日本で第2位の生産量を誇る大阪府泉州地区の「泉州タオル」も同様である。中国産のタオルの流通によって苦境を強いられているが、品質の高さから贈答品としての供給に活路を見出している。

中国産のタオルが増え、完全にコモデティとなってしまったタオル。質の高いタオルは贈答用など市場のごく限られた部分でしか生き残れなくなっているのか。

「日本のタオルじゃなければ」の場面の開拓。
【差別化リーダー型】
嶋口(1995)は、「競争者のタイプ分類と経営資源・組織特性」においてリーダーを「コスト・リーダー型」と「差別化リーダー型」に分類している。管理やコスト統制などによって価格競争力を持つ「コスト・リーダー型」に対して、「差別化リーダー型」の経営資源として、
・強力なマーケティング力
・製品エンジニアリング
・創造的直観
・高品質、高技術の評判
・伝統あるいは他の事業経験からの独自能力
・流通チャネルとの協調
を挙げる。

タオルの製造で高い技術が必要な分野は、贈答品だけではない。
医療用衛生材、介護用品を製造する高知県のミニパック株式会社では介護用として必要な吸収力、強度ともに優れた介護用の使い捨てタオルを開発し、介護の場面での需要を掘り起こしている。

<参考>日本経済新聞WEB版「ミニパック、吸水力高い介護用使い捨てタオル」2011/11/5



さらには生産財としてなど、高い技術が求められる場面はまだまだ開拓の余地がある。ブランド構築とともに「強力なマーケティング力」によって需要機会を見つけていくことで、「コスト・リーダー型」である中国メーカーとは違う市場で活躍する「差別化リーダー型」になれるのではないか。

<参考文献>
現代マーケティング (有斐閣Sシリーズ) 』嶋口充輝・石井淳蔵(1995)有斐閣

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日本で独自の消費者市場。「地産地消」傾向の要因は?〜NIH症候群

2011.11.03 Thursday

家電をはじめアジアの企業が世界市場を舞台に活躍し世界の消費者がそれらを受け入れる中で、日本の各消費者市場ではまだまだ国内メーカーのシェアは高い。

商品分野によって日本の消費者は、新しい価値やイノベーションの受容が比較的遅い側面もある。
現在では消費者市場にも浸透し、多くの日本企業が製造販売しているパソコン。1980年代後半、日本ではまだまだワープロが浸透しておりパソコンは一部の企業で取り入れられる程度。その時、オーストラリアでは企業や教育現場だけでなく、中流階級以上ではあるが一般家庭にパソコンが普及し始めていた。

中国に2位の座を奪われたとは言え、GNPは第3位の経済大国である日本。国民の生活水準も教育水準も高い国である。にもかかわらず、新しい価値を受け入れることに消極的なのは、各分野で優れた製造技術力を持ち世界市場にむけて品質高い製品を輸出してきた国の国民としての自負が関係しているのかもしれない。

「Made in japan」が一番。
【NIH症候群】
英語では'Not Invented Here
syndrome'。その国や組織によって作られたもの、もしくはその国は発祥であるものを選定、採用する傾向。他の国や組織で開発されたものを受け入れることに抵抗を示す。

先に述べたとおり、これまで日本の自動車、家電メーカーの品質は世界市場で高く評価されてきた。消費者のそれに対する誇りが高いほど、他国が発祥となった新しい価値に抵抗感があり受け入れに消極的になるNIH症候群の影響が強いのかもしれない。

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台頭する韓国家電メーカー。日本企業が勢いを取り戻すには。〜日本企業における協調性

2011.11.01 Tuesday

世界を舞台に躍進するサムスン電子。日本の家電市場では依然として国内メーカーのシェアが大きいものの、欧米市場ではサムスン電子が飛躍的にシェアを拡大している。かつては日本の家電メーカーはソニーを筆頭に欧米市場でも活躍してきたが、現在はサムスン電子の勢いに大きく引けを取っている。

最近、この日本企業の失速の背景に関する議論は多い。日本の技術力を以て何故「iPhone」「iPad」のような製品を開発できなかったのか、などについてのR&Dにおける議論、日本の企業にありがちな組織体制の議論がある。
製品開発の方法、体制の問題が原因となっていることは十分考えられるが、日本人が元来持っている気質という曖昧な要素が方法や体制づくりの決定に大きく影響しているのではないか。

M.ドイッチュ(1984)は、米国人からみた日本の企業やビジネスマンの気質、特徴として「協調性」を挙げている。この「協調性」が日本企業の製品開発、体制作りにどのような影響をもたらしているかを考察した。

日本人の協調性が足かせに。
【日本企業における協調性】
M.ドイッチュ(1984)は、以下のような日本人、日本企業の協調的な特徴を述べている。
・企業と従業員、および企業内における人間同士の結びつきの強さ
労働と報酬の交換やのみならず、帰属意識の強さと充実した福利厚生が存在している。また社員運動会、社員旅行など経営者と従業員、上司と部下、同僚が業務以外でもコミュニケーションを取る風習がある。
⇒この結びつきから企業内において「甘え」「気配り」ある構造が生まれ、「許し合い」「かばい合い」など仕事にも反映される。
・「和の精神」を重視
企業に雇われるにあたって、他人と協調していく才覚が求められる。
賃金格差によって嫉妬心がうまれ雰囲気が悪くなることを恐れるために賃金においては、勤続年数、年齢が重視されている。
・チームワーク精神
日本企業には「課」という仕事集団の単位があり、「課長」やその仲間に自分がチームにとって不可欠な人間であることを示したい、という欲が強い。

1980年代半ばと言えば、まだ日本はバブル景気を目の前に多くの企業が飛躍の時期を迎えていた時である。日本の企業やそれらに属するビジネスマンが、当時から浸かってきた協調性からもたらされる馴れ合いの風習を指摘されている。

この協調性からもたらされる馴れ合いが、現在も企業活動に影響を及ぼしているのであれば、製品開発におけるイノベーションのスピードは遅くなり、グローバル化によってスピードアップしているアジア各国企業のイノベーションについていけなくなっている可能性がある。



チームワークによるパフォーマンスの高さなど、日本企業における協調性のメリットもある。戦後から80年代の当時はそのメリットが活かされ日本企業が活躍していたのかもしれない。しかし一時の好景気から続くその風習が、現在グローバル市場での競争において足かせになっているようにも思える。

<参考資料>
『日本人とつき合う法―日米商売道比較』(著)M.ドイッチュ(訳)徳山二郎(1984) 日本放送出版協会

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ハロウィンでしか得られない価値はあるのか?〜希少性の法則

2011.10.27 Thursday

季節の行事として、すっかり日本にも定着しているクリスマスやバレンタイン。その時代背景によってカタチは変わっても、安定した需要がある。その他でも節分の「恵方巻き」はここ10年程度で急速に定着した。

これらが普及するに至った理由を「希少性の法則」を元に考察し、ハロウィンにその要素、可能性があるのかを考察する。

その時のみ、という限定された希少な価値。
【希少性の法則】
同質のものであっても、すぐ手に入るものよりも希少なものの方が価値が高いと考える人間の行動の法則を指す。「なかなか手に入らない」=「皆が欲しがっているもの」=「価値が高い」という認識を、これまでの生活経験の中からで身につけている。
社会心理学者S.ウォーチェルの実験では、クッキーが10個入った瓶からクッキーを食べた被験者より2個しか入っていない瓶から食べた被験者のほうが、同じクッキーにもかかわらず、クッキーに好意的な評価をしたという。

クリスマスには、クリスマスにしかできないことがある。サンタクロースからプレゼントをもらう。七面鳥、クリスマスケーキなどのご馳走を食べる。家族、友だち、大切な人と過ごす。その時にしかできない「非日常」の行動が慣習化されている。
太巻きを切らずにかぶりつく。普段であれば行儀が悪いとされることが節分だけは許される。

ハロウィンはどうだろうか。ハロウィンならではの仮装はあるが、クリスマスパーティでも仮装することもありハロウィンに限られることではない。また「お菓子をもらう」という行為も現代の子どもたちにとっては日常的な行為なのではないだろうか。



年に1度ハロウィンのときにしかできない、希少性の高い慣習を取り入れることでハロウィンの行事の価値が高まり、さらに消費者から好意的に捉えられるようになるかもしれない。

| 買いたいココロ。 | 13:51 | comments(0) | trackbacks(0) |




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低成長のハロウィン市場のゆくえ〜フルカバレージ型ターゲット設定

2011.10.25 Tuesday

10月に入り、小売店の店頭で増えてきたのがハロウィンの販促物。思えばハロウィンにちなむイベント、キャンペーンが盛んになってきたのはここ10年ほどの間ではないだろうか。

10月は大きな年中行事もなく、販促のネタが少ない時期である。ハロウィンが盛り上がり商品購入の機会になれば、と考えている商業施設は多い。仮装パレードや子どもたちにお菓子を配るなどのイベント実施のほか、飲食店でのハロウィン限定メニューの提供などの販促が行われている。ハロウィンの普及の影響が大きいのがお菓子市場である。この時期の売上が増加しているメーカーも多く、この時期のみハロウィンの商品パッケージに切り替えるところもあるようだ。

クリスマスは約800億円の市場、バレンタインも約500億円市場と言われている。まだまだ拡大の余地があるハロウィンの市場。イベントや販促は盛んになっても、しかし、クリスマスやバレンタインのような成長は遂げていない。今後のハロウィンの市場拡大の可能性を考察する。

ターゲットの再設定によって市場規模を拡大する。
【フルカバレージ型ターゲット設定】
市場全体を顧客のセグメントと製品のセグメントの2方向から細分化し、どのセグメントをターゲットとするのか、製品力やマーケティング力によって設定する方法を嶋口(1987)は提示している。その市場ターゲットの設定において、シェア拡大を目指すリーダー企業はターゲットを絞り込まず全方位戦略を取るとしている。

現在行われている多くのハロウィンのイベントは、小さい子どもを対象としたものが多い。ハロウィンのターゲットは自ずと小さい子どもとその家族に限定され、子どもが成長するにしたがってターゲットから外れてしまう構造が想定できる。



クリスマス、バレンタイン施策のターゲットは年齢を問わない。子どもから高齢者までも受け入れられる年中行事である。ハロウィンの浸透には、ターゲットを限定せず、全方位的に施策を行っていく必要があるのではないか。

<参考資料>
プレスリリース「周年イベントにおける加工食品市場を調査」(2010)富士経済
現代マーケティング (有斐閣Sシリーズ) 』嶋口充輝、石井淳蔵(1987)有斐閣

| 売りたいアタマ。 | 14:16 | comments(0) | trackbacks(0) |




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デメリット回避への心理傾向が招く消費者の意思決定〜プロスペクト理論

2011.10.20 Thursday

議論が広がっている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題。
交渉参加による今後の消費者の生活への影響は少なくないと考えられている。しかし長期的な視点から考えれば、参加する場合もしない場合もメリットとデメリットはそれぞれにある。賛成派と反対派も微妙に食い違っており、消費者から見れば交渉参加の判断のゆくえ、それによる影響も明確に予測するのは非常に難しい。

このような状況で、消費者はどのような意見を持つのだろうか。不確実性が高い状況下での人間の心理の傾向から、考察してみた。

適正に判断できない、メリット。デメリット。
【プロスペクト理論】
不確実性が高い状況で、人間が行う意思決定の傾向を述べたD.カーネマンらによる理論。
現状を基準として、そこからどれぐらい乖離しているかによって結果を評価する。しかし、自分にとってプラスになるときに得られる利益の大きさと、マイナスになるときに被る損失の大きさが同じ場合、損失の方を過大評価し回避しようする。またこの他に、基準よりプラスの領域では危機回避的になり、マイナスの領域では危険追求的になるという傾向も挙げられている

今回のTPP交渉参加問題の賛成派、反対派の主な意見を以下に整理する。
賛成・肯定派が、関税撤廃による輸出振興、国外技術の取り込みによる農業イノベーションと経済成長の可能性価格下落による消費者の生活の負担軽減を参加のメリットとして挙げている。また参加しない場合のデメリットとして日本の利益をルールに反映させられないことによる貿易上の不利、日本経済の衰退を挙げる。
一方で反対・慎重派は、価格下落による耕作意欲の低下、廃業農家の増加とそれによる景気の悪化、農家への補償による財政負担、流通する食品の品質の低下をデメリットとして挙げる。

反対派が述べるデメリットは消費者や農家への直接的で短期的な悪影響が多い。プロスペクト理論に基づけば、これらの主張を耳にする消費者としては「反対派が述べるデメリットを回避すべき」という意思を持ちやすい傾向にあると言える。



交渉参加には、長期的な経済発展とそれに必要なイノベーションの可能性という重要な価値もある。消費者がその価値を適正に評価するためには、デメリットよりもさらに大きなメリットがあることを理解する説明が必要である。

<参考文献>
D.Kahneman, P.Slovic and A.Tversky "Judgment under Uncertainty:
Heuristics and Biases"(Cambridge University Press, 1982).

| 買いたいココロ。 | 20:05 | comments(0) | trackbacks(0) |




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TPPと日本の農業の振興の道、知的財産ビジネス化の可能性。〜オープンイノベーション

2011.10.18 Tuesday

農業従事者、政界、経済界で議論が広がっている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題。参加するもしないも、我が国の農業、消費者の食生活を大きく左右する重要な問題である。

反対派は、価格下落による農家の廃業の増加や景気の衰退など、日本の農業や経済に及ぼすマイナスの影響を懸念。一方経済界を中心とする賛成派は、農産物についても国際社会で充分な競争力を持って経済活動を行ううえで、交渉参加の遅れは大きな痛手になることを示唆している。

いずれにしても、大きな課題となるのは日本の農業の振興策である。個別家族経営が中心となっている日本の農家。自由化によって経営難に陥る農家が増加すると考えてられている。現在でも従事者は年々減少し、高齢化により弱体化していると言われる農家。このTPPに関する議論を機に、経営規模の拡大によって生産力の強化と経営の安定を図る必要が叫ばれている。
一方で、米国や中国など広大な農地を持つ国に対し、国土が狭い日本で農業経営を大規模化しても限界があり競争に耐えられる生産性向上とコスト低減までには至らないという見方もある。

その他の農業振興策、国際的競争優位の可能性の一つとして挙げられるのが、バイオテクノロジー・農業技術を知的財産として強化することである。しかしながら、開発コストの問題、農家に蓄積されるノウハウからの価値の創造やビジネス化にあたっての課題は多い。個別経営によって分散されたノウハウを知財化する可能性について、H.チェスブロウ(2008)が提唱する「オープンイノベーション」に照らして考察する。

個人単位の農家、研究者、他業界のノウハウ共有で価値を生む。
【オープンイノベーション】
R&Dをオープンなしくみとして扱うパラダイム。価値あるアイデアや知識を組織内にとどめるのではなく組織外での活用を促進することで、知識の流入と流出を目的にかなうように利用しイノベーションを加速する。また知識の組織外での活用を促すことで他市場へのや新たな市場の創出が期待される。これを活性化するためには、R&Dのオープンなしくみをつくる仲介者の存在が必要であるとしている。(H.チェスブロウ 2008)

環境変化による生産量の変動の解消および価格の安定を図る上で、我が国でのバイオテクノロジーの発展とその農業への応用の必要性が訴えられるが、開発された技術を実際に活用し作付け、栽培し、経済活動として成り立たせるのは農家であり、両者の知識共有が技術深化に有効であるのは当然である。それだけでなく独自の経験とノウハウを持つ農家同士での情報交換からも、価値あるアイデアが発見される可能性はある。さらには他の業界の生産技術やマーケティングのアイデアの農業への応用が、日本独自の技術の開発につながり、知的財産としての価値を作る。

農作物の生産・経済活動を実際に行う農家と研究者。両者の考えに少なからず隔たりがあることは想像に難しくない。また、個人経営がほとんどである農家同士でも、経験やノウハウの共有は難しいケースも多いであろう。そして、独自の商習慣をもつ農業と、他業界では尚更技術を共有し合うメリットは一見見出しづらく敬遠されるかもしれない。

H.チェスブロウが唱える「オープンなしくみ」を作り推し進める仲介者は、やはりここでも必要だろう。


<参考文献>
オープンイノベーション 組織を越えたネットワークが成長を加速する 』 (編)H.チェスブロウ(訳)長尾高弘(2008)英治出版

| 売りたいアタマ。 | 18:17 | comments(0) | trackbacks(0) |




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お詫び

2011.10.13 Thursday

本日更新予定の「買いたいココロ」はお休みさせていただきます。
誠に申し訳ありません。

「売りたいアタマと買いたいココロ」 管理人

| 買いたいココロ。 | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0) |




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スティーヴ・ジョブスとアップル。〜真のコーポレートアイデンティティ

2011.10.11 Tuesday

2011年10月5日、アップル社の共同創業者スティーヴ・ジョブズ氏が亡くなった。1月に病気治療のために求職。8月には同社の最高経営責任者(CEO)を退任していた。

業績悪化の責任を取り、一度は自ら創業したアップルを追われたジョブズ氏。再び戻ってからは「iMac(アイマック)」や携帯音楽プレーヤー「iPod」と「iTunesStore」の開設など、成功をおさめ、経営を再建した。その後世界的にも大きな影響を及ぼす「iPhone」「iPad」を世に送り出し、大きなイノベーションを起こした。

ジョブズ氏の訃報は世界中に伝えられ、「カリスマ経営者」の急逝は大きなニュースとなった。「iPhone」「iPad」によって大躍進を遂げていたアップル。そのアップルにおける「カリスマ経営者」不在を心配する声は多い。

2011/10/6 日本経済新聞Web版「ジョブズ流経営どう継承 カリスマなきアップルに試練」

新製品発表イベントでプレゼンテーションを行うジョブス氏の姿は、これまで何度も日本のマスメディアでも報じられてきた。アップルになくてはならない存在だったスティーヴ・ジョブズ氏。経営者としてどんなことをしてきたのだろうか。

ジョブズ氏そのものが、アップルの姿勢。
【コーポレートアイデンティティ】
コーポレートアイデンティティとは、企業の特徴や理念などを簡潔に表したものである。実務の上では、企業のイメージ、ビジョンをロゴマークなどに表現して浸透させることを指す。また、コーポレートアイデンティティの戦略として以下の3つが挙げられる。
MI(Mind Identify):社内の一体感を高める
BI(Behavioral Identify):行動面での実現を目指す
VI(Visual Identify):社外的な視覚統一感を目指す

とは言え、企業がもつ特徴や理念、すなわちその企業が社会の中でどんな存在価値を持ち、何を目指し、何を提供し、どんな姿勢で経済活動を行っていくのかをロゴマークなどで表現することは極めて難しい。表現されていたとしても、企業の姿勢を多くの人がそこから理解することはほぼ不可能である。

ただアップルにおいては、他にないほど正確に深く豊かに表現されていた。それを表現していたのがジョブズ氏だった。

世の中ではあたりまえになっている常識を覆し全く新しいもの生みだそうとする姿勢。品質(開発、調達、生産、販売)の細かな追求。「『アップルはジョブズ氏そのもの』(証券アナリスト)だった。」(2011/10/6日本経済新聞Web版「ジョブズ流経営どう継承カリスマなきアップルに試練」)

ジョブズ氏そのものが、社内の意識を統一し理想を実現し、世界中にアップルの価値観を発信してきた。

ジョブズ氏を失った今アップルに必要なのは、アップルを支えてきた真のコーポレートアイデンティティなのかも知れない。

<参考HP>
2011/10/6 日本経済新聞Web版「ジョブズ流経営どう継承 カリスマなきアップルに試練」

| 売りたいアタマ。 | 17:33 | comments(0) | trackbacks(0) |




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「郵便局を必要としている人」とは?〜マーケット・セグメンテーション

2011.10.06 Thursday

郵便事業のサービスによる顧客満足〜満足のピラミッド/本質サービスと表層サービス

全国の郵便局を拠点として展開されている郵便事業について、民間の小口配送業者との競争における優位性となるような顧客価値を整理したところ、「地方や高齢者が多い地域への支援や生活の権利を保護する」という表層的なサービスに強みを持っているという仮説が浮かび上がった。

郵便局は全国に2万5000局程の拠点を有し郵便事業を展開しているが、全国のすべての人々がそのターゲットとなっているわけではなさそうだ。郵便局の価値を見出し、生活に不可欠なものと感じている人々をどのように把握できるのだろうか。

すべての人の中で「郵便局を必要としている」セグメントを発見。
【マーケット・セグメンテーション】
個人特性を理解することは、精緻で深い消費者行動の把握を可能にする。杉本(1997)は、個人差を研究する意味を以下のように述べている。
1.行動の記述
個人特性を用いることで、行動をより要約して簡潔に記述することができる
2.行動の説明
個人特性を知ることで、行動の動機や理由をより正しく理解できる
3.行動の予測
個人特性を把握しておくことで、将来の行動をより正確に予測できる
4.行動の制御
個人特性を把握すれば、意図的に一定の行動を生じさせたり、逆に行動を抑制することができる実務の上で、消費者の個人差を把握するためにマーケット・セグメンテーションが用いられることが多い。市場を形成している個人の特性を把握し、その複数の特性を軸としてグループ分けし、それぞれのグループのニーズに合わせたマーケティング活動が可能になる。
その大きな軸として以下の2点が挙げられている。(杉本,1997)
●パーソナリティと行動様式
●ライフスタイル(生活意識、生活行動、価値観)

杉本(1997)が挙げる2点で精査していく中で、デモグラフィック特性(性別、年齢、居住地など)にも共通点が見られてくるかもしれない。

「地方や高齢者が多い地域への支援や生活の権利を保護する」という強みを前提とし、
「郵便局を必要としている人」のセグメントの特性を考察した。
まず、
・地方在住者
・高齢者
という特性は強みからおのずと見えてくる。
しかしながら、地方にも民間小口配送業者の拠点がある地域もあり集荷サービスを行っているため拠点から遠い人でも高齢者でも荷物を送ったり受け取ったりすることができる。コンビニエンスストアとの提携をしている業者もあり、車で買い物に行くついでに荷物を発送に行くことができる。
よって「郵便局を必要としている人」の特性として、地方在住者、高齢者の中でも
・荷物の集荷、配送の依頼を自らできない人
・車の運転ができない人
・コンビニエンスストアなどの商業施設から距離がある地域の在住者
いわゆる買い物弱者と言われる人々と共通した特性があることが分かる。

もし「地方や高齢者が多い地域への支援や生活の権利を保護する」拠点として存在するのであれば2万5000局程の全国の郵便局のネットワークでなくとも
・荷物の集荷、配送の依頼を自らできない人
・車の運転ができない人
・コンビニエンスストアなどの商業施設から距離がある地域の在住者
が多く住む地域にのみ拠点を限定し、民間小口配送業者のハブ拠点としてもしくは買い物の代行拠点として機能した方が経済的かつ効率的に利用者ニーズに応えることができる、ということになる。

<参考文献>
『消費者理解のための心理学』(編)杉本徹雄(1997)福村出版

| 買いたいココロ。 | 18:20 | comments(0) | trackbacks(0) |




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